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ジンチョウゲ

ジンチョウゲ

ジンチョウゲ科 Daphne odorata
常緑低木/高さ3m/花期3〜4月

くっきりとした濃厚な香りが特徴的なジンチョウゲ。どこに咲いているか分からないけれど、遠くに香りだけを感じるということがよくある花です。漢字では「沈丁花」。香料の「沈香」に香りが似ていることからこの名があります。また、学名のDaphneはギリシャ神話でゲッケイジュに変身させられた妖精ダフニスに由来し、葉がゲッケイジュに似ていることによります。
中国の中部から雲南、ヒマラヤまでの森林に分布し、日本には室町時代に雄株のみが渡来しました。光沢のある革質の葉が独特で、樹形も整った形となるため庭園に好んで植えられます。移植や剪定にあまり強くないので、植え付ける際は水はけがよい土を用意し、植えつける際は根を傷めないように注意します。いったん根付くと、水やりの必要もなくとても丈夫な木です。 (2013年3月)

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スノードロップ

スノードロップ

ヒガンバナ科 Galanthus nivalis
多年草/高さ10cm〜20cm/花期2〜3月

ヨーロッパのフランスからコーカサス地方にかけて、明るい林に自生する球根性の多年草です。まだ雪が残る時期に咲くため、春を告げる神聖な花として修道院に植えられました。名前の「ドロップ(しずく)」は耳飾りに由来し、16〜7世紀に流行した形に似ているそうです。花の閉じたようすは、まさに「しずく」。開くとランプシェードのようで、蜂蜜の香りがします。
苗か球根で売られており、球根の場合は前の年の秋に植えつけます。明るい林に自生するので、半日陰の場所が最適です。水はけのよい腐葉土が多めの土を用意しましょう。背が低いため、鉢植えか少し高めにつくった花壇がおすすめです。 (2013年2月)

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ナンテン

ナンテン

メギ科 Nandina domestica
常緑低木/高さ3m/花期5〜6月

幹の先端に葉が集まる独特の姿が魅力的な、ナンテン。日本の茨城県から西と中国、インドなどに広く分布し、林の中に自生します。少なくとも鎌倉時代ごろから庭木として植えられ、とくに「難を転じる」という語呂合わせから魔除けの木として珍重されました。贈り物や赤飯に葉を添えるほか、果実や葉には咳止めなどの薬効があります。
初夏には「零れ落ちる」という表現がぴったりの、白くて小さな花をたわわにつけ、冬にはきりりと赤い実が実ります。少し艶消しの葉は常緑樹でありながら重たすぎず、霜の降りるころに美しく赤みを差します。
水はけを確保すれば日陰でもよく育ち、株分かれして新しい幹を次々に伸ばします。高さ30cmほどで紅葉がとくに美しい園芸品種・オタフクナンテンはお庭の前景にお薦めです。 (2013年1月)

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ポインセチア

ポインセチア

トウダイグサ科 Euphorbia pulcherrima
常緑広葉樹/高さ30cm〜最大5m/花期10〜12月

鮮やかな深紅と緑の取り合わせが美しく、クリスマスに欠かせない花、ポインセチア。原産地は寒い冬とも雪とも無縁な中央アメリカのメキシコです。原住民は染料や薬草として利用していましたが、もちろんクリスマスとはもともと無関係。戦前からアメリカで品種改良が盛んに行われ、クリスマスの花としての不動の地位を築いていきました。
花に見えるのは、実は「苞葉」と呼ばれる葉が変化した器官で、地味な花に代わって昆虫を呼び寄せる働きをしています。花には蜜腺があり、たくさんの蜜を出します。
寒さに弱く、地植えはできませんが、鉢植えやハンギングバスケットなどで長く楽しむことができます。水はけのよい土に植え、冬場は明るい室内で管理しましょう。ピンクや白など赤以外の色や、斑入りなどさまざまな品種が作られていますので、お気に入りを探してみてはいかがでしょうか。 (2012年12月)

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キク

キク

キク科 Crysanthemum
多年草/高さ 30cm〜50cm/花期10月〜12月

秋が深まり、夜気の冴え冴えとするころに咲く花、キク。その香りから古来より邪を払い、不老長寿を授ける花として珍重されてきました。とくに旧暦の9月9日の重陽の節句は菊の節句ともいわれ、長寿を願ってキクの花を浮かべた酒を酌み交わす習慣がありました。
おもに流通する「家菊」は野菊の交配によって生まれました。品種数は膨大で、大きさ、色、形もさまざま。江戸時代には庶民が菊栽培に熱中するブームも起こりました。切り花ではスプレー菊やポンポン菊が人気で、花束やブーケにも欠かせない存在です。庭植えにする品種は小菊が多く、選択肢も豊富。過酷な環境に自生するためたいへん丈夫で、和洋を問わずどんな庭にもよく合います。花が咲いたらどんどん切って生け花などに活用してみてください。新しい芽から次々と咲き、長く楽しめます。 (2012年11月)

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リンドウ

リンドウ

リンドウ科 Gentiana scabra var. buergeri
多年草/高さ 30cm〜50cm/花期9月〜11月

秋、過酷な夏の日射しをやり過ごした草木は再び勢いを取り戻し、みずみずしい春とは違う濃密で凛とした佇まいの花々を咲かせます。リンドウはそのなかでも、ひときわ強い輝きを放つ花です。ペン先のような蕾が螺旋を描いて開くさま、そして竜胆色と呼ばれる淡くそれでいて力強い青色。野生では枯れ野のなかで鮮やかな存在感を放ち、瞬間的に目に飛び込んできます。また、仏花としてもポピュラーで、近縁のエゾリンドウを改良した濃い紫で花があまり開かないタイプが流通しています。
日当たりを好みますが、他の植物に寄り添うように生える性質があるので、ほかの宿根草と並べて植えるとよいでしょう。咲き終わった花はこまめにカットすると、来年の花つきがよくなります。 (2012年10月)

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マツムシソウ

マツムシソウ

マツムシソウ科 Scabiosa
越年草または多年草/高さ 20cm〜1m/花期8〜10月

マツムシソウは名前の通り、マツムシの鳴くころに咲きはじめ、秋の訪れを教えてくれる花です。冷涼な山あいの草原に自生し、さまざまな花が一面に咲くなかでも、ひときわ上品な藤色はよく目立ち、風が吹けばそよそよと揺れ、蝶や花蜂が盛んに蜜を求めて訪れます。ひとつの花に見える「頭花」はたくさんの花の集合体で、外側から内側にだんだん開いていくユニークな開花パターンです。園芸店で主に売られているのはヨーロッパ原産のScabiosa atropurpreaやS. caucasicaなどの園芸品種で、暑さに強く、終わった花を摘み取れば次々に開花します。
おすすめはコンテナを使った寄せ植え。ナデシコやフジバカマ、ギンギツネなどのグラス類と組み合わせると、おうちで風の吹き抜ける草原の景色を楽しむことができます。(2012年9月)

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アサガオ

アサガオ

ヒルガオ科 Ipomoea nil
一年草/花期7〜10月

小学生が育てる花といえば、なんといってもこれ。夏休みに鉢を抱えておうちに帰った記憶をお持ちの方も多いはず。誰でも知っている花なのに、なんと原産地はいまだに不明。遅くとも平安時代には中国から渡来し、最初はおもに薬として栽培されました。江戸時代になると大名から庶民までがアサガオの栽培に熱狂する空前のアサガオブームが起こり、日本を訪れた外国人たちを驚かせています。寝苦しい熱帯夜のあと、夜露に濡れてそっと開く色とりどりのアサガオ。そんな花にはまってしまうとは、日本人ならではの美意識かもしれません。栽培に際しては、日当たりと風通しを十分に。日射しが気になるところにネットや支柱を組んで緑のカーテンにすると、花と涼しさの「一挙両得」です。(2012年8月)

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熱帯スイレン

熱帯スイレン

スイレン科 Nymphaea
多年草/高さ20〜30cm程度/7月〜10月

水面に浮かぶ姿が独特なスイレン。真夏の太陽の下でも、そこだけひんやりと涼やかです。フランス印象派絵画の巨匠モネも晩年スイレンに強く魅せられ、繰り返し繰り返しスイレンを描いています。そのものの美しさもさることながら、刻々と移り変わる水面の表情に文字通り花を添える存在です。交配によりさまざまな品種が作り出されていますが、このうち熱帯の種類を元にしたものを「熱帯スイレン」と呼びます。昼咲きと夜咲きがあり、大ぶりで力強い印象を見る人に与えます。植えつけの際は、水深20cm〜30cmとなるように注意し、根元に光が当たるようにします。(2012年7月)

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アジサイ

アジサイ

アジサイ科 Hydrangea macrophylla
落葉低木/高さ30cmから最大2m程度/花期6〜7月

アジサイがもしなかったら、梅雨の間はバカンスで海外逃亡したい!―というくらい、梅雨のじめじめで滅入る気持ちを明るくしてくれる、アジサイ。原種のガクアジサイは海辺の厳しい環境に合わせて進化していった開拓者です。しっとりとした大ぶりな花に、潮や日射しに負けないタフさを兼ね備え、世界中で愛されています。どんどん大きくなるので、こまめに切り花にして楽しんでみてください。咲きはじめの淡い緑、満開のころの青や桃色、咲き終わりの緑がかった紫、枯れ姿、どれも魅力的です。日陰にも耐えますが、なるべく日当たりと水はけのよい場所に植えましょう。親類のヤマアジサイはやや日陰を好みます。(2012年6月)

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(イラスト/中沢しのぶ 文/清右衛門)

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