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  アガリガマチって何?

アガリガマチって何? 「アガリガマチ」という言葉を知っていますか? 馴染みがない方も多いと思いますが、実はほとんどの家の玄関にもあるものなのです。この言葉はもともと建築用語で、「上がり框」と書きます。玄関などの三和土(=たたき、履物を脱ぐ場所)と、上がり口との段差の上端に取り付ける横木のことをいいます。この部分は来訪者が家を訪れたときに最初に接する部分。ある意味で「家の顔」とも言えます。そのため材質は高価なものが選ばれることが多く、木材ではケヤキ、楓などの高級材、木材以外では人工大理石、石材などを使う場合もあるようです。


 現在でも和風の家には、昔ながらの立派な上がり框を見ることができますが、高さは30センチを超える場合もあります。これは日本が湿気の多い気候で、床が比較的高いことと関係があると言われています。床が地面に近いと、床下に湿気がこもりやすく、暮らしていても不快ですし、柱や床、畳、また家の中の衣類や布団が湿気でカビたり傷んだりしやすくなるからです。また大雨の際、少々水浸しになっても床に水がつかないための工夫でもあります。床が高くなれば、ほぼ地続きの上がり框自体もある程度の高さになります。 ただ、あまりに上がり框が高いと、履物の脱ぎ履きが不便だったりして不都合が生じます。そんな場合には、三和土との間に式台、靴脱ぎ石などといったステップを設けて、不便さをしのいでいました。


 さて、最近の住宅では上がり框はどうなっているのでしょうか? 高齢化が進む現代では、建設省(現国土交通省)がバリアフリー住宅の上がり框の高さについて基準を定めています。戸建て住宅は18センチ以下、マンション、集合住宅は11センチ以下に、というものです。たしかにマンションや集合住宅では、
段差が数センチというケースも多く、上がり框は、三和土と廊下を区切るため
の部材として、あまり意識することはなくなりましたが、いまも残っています。


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