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  ニッポン再発見! ご当地玄関とは?

ニッポン再発見! ご当地玄関とは? 玄関といえば家の出入り口。1階部分にあるのが当然ですよね。ところが新潟県など雪国では2階に玄関があり、2階から出入りするお宅が存在します。1階部分がコンクリートでできた車庫や作業場になっていて家の土台的な役割を果たし、居住空間はすべて2階。雪がとても多いというのがもちろんその理由ですが、1階は空から降ってくる分だけでなく、屋根から落ちてくる雪によっても埋もれやすいからです。玄関が一階だと、毎朝雪かきをして動線を確保する必要がありますが、2階なら、朝起きたら雪に埋まって玄関ドアが開かない、ということもないというわけです。


 一方で夏暑いことで知られる京都では、細かい格子の玄関扉が一般的です。これは、風通しを良くしてわずかでも家の中が涼しくなるよう工夫したものですが、古くから都市だった京都ならではの、プライバシー確保の知恵でもあります。 往来の多い通りに面した家では、玄関扉を開け放しておくのもなかなか気がひけます。でも、実際に見てみるとわかりますが、細い格子戸を閉めておけば、中は見えるようで見えません。


 さて次は、伝統的な赤い瓦屋根の家々が並ぶ沖縄県の竹富島。ここでは玄関というスペースそのものがありません。家の四方が大きな掃き出し窓のようになっていて、どこからでも出入りが可能です。竹富島は、島全体が綺麗な白砂で覆われ、昔は素足で過ごしていたと言われています。だから履物を脱ぐスペース=玄関の必要もなかった、というわけです。


 最後にちょっと面白い例をひとつ。愛知県形原町では「花盗人(はなぬすびと)」という言い伝えがあります。誰にも見つからないように他人の家からあじさいを盗ってきて、自分の家の玄関先に、花を下にして吊るすとお金が貯まり、厄除けになるというもの。今も習慣は残っているそうです。


 その土地に行かないとお目にかかれない玄関ばかりですが、こうした「ご当地玄関」はいつまでも残っていて欲しいですね。


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