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  巣に扉を持つ生き物とは?

巣に扉を持つ生き物とは?  今回は生き物たちの巣の"玄関"を訪ねてみましょう。


 イギリスなどヨーロッパに広く生息するアナウサギがトップバッター。このウサギは不思議の国のアリスの冒頭に出てくるウサギのモデル。集団で暮らし、地面に穴を開けて迷路のような大きな巣を作ります。入り口の穴は直径15cmほどと小さいのですが、1つの巣に50以上も入り口があるといいますから驚きです。特徴は生まれたばかりの子どもをキツネなどの外敵から守るため、巣とは少し離れた場所に子ども専用の穴を作ること。"離れ"みたいなものですね。親ウサギは出掛ける時、この巣穴から子どもがうっかり外に出てしまったり、外敵が侵入したりするのを防ぐため、入口を土で固めた扉でしっかりふさぐといいます。子供を大事にしている様子が伝わります。


 次は鳥です。まるでバナナが頭の上に乗っかったようなユーモラスな格好をした東南アジアに棲むサイチョウ。動物園でも人気者ですが、子育ての時に大木の洞を利用して巣を作る習性があります。その際、メスは入り口をくちばしが出せる程度の小さな隙間だけを残して泥などでふさぎ、オスが集めてきたエサはこの隙間から受け取ります。 ヒナの羽がだいたい生え揃う頃になると、メスはいったん扉をくちばしで破って巣を出ます。まだ飛ぶことができないヒナは巣に残って自分で扉を修復、今度は両親から餌をもらい巣立ちまでを過ごすのです。直して使うあたりが面白いですね。


 ほかにも扉を持つ生き物がいます。原始的なクモ類のキシノウエトタテグモは、その名の通り「戸」を「立て」るクモ。土の中につくられたトンネル状の巣の入り口にはクモの糸を使った楕円形の扉があります。一部が入口にくっついていて、開け閉めの様子は玄関のドアそのもの。扉の裏側は糸の色で真っ白ですが、表側はカモフラージュのためにコケや土などが貼り付けてあり、地面と見分けがつきません。クモはこの扉の内側から外をうかがい、近くを通る昆虫をつかまえます。仲間のカネコトタテグモは、両開きの扉を付けるといいますから、なんだかこちらはウェスタン調ですね。


 最後はジガバチです。日本ではポピュラーな蜂の1種で、初夏から晩秋にかけて各地で見ることができます。子育てをするために地面に垂直に穴を掘り巣を作りますが、狩りに出掛ける時、親は入り口を砂の扉で埋めてでかけます。この砂扉は獲物を持ち帰るなど、出入りするたびに開け閉めすると
いいますから大変ですが、これも子どもを敵から守るため。親の愛でできた扉です。


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