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  なぜ玄関で靴を脱ぐの?

なぜ玄関で靴を脱ぐの?  昔から欧米人を驚かす日本独自の習慣の代表格といえば、風呂の湯を抜かずに全員入ることや玄関で靴を脱ぐことなどと相場が決まっています。中でも玄関で靴を脱いで家の中では靴を履かないことは、初めて日本の家庭を訪れた方にとって最初の洗礼といったところ。インパクトは大きいことでしょう。でもそもそもなぜ靴を脱ぐのでしょうか? またこれは本当に日本だけなのでしょうか?


 日本は高温多湿の国。雨が多く湿度も高いため、家は床を上げて湿気が抜けやすい構造にしておかないと、カビが発生したり柱や床板などが傷みやすくなったりと不都合があります。また大雨が降って浸水することもありますから、その面でも床を上げる構造となりました。


 一方で地面は現代のようにくまなく舗装してあるわけではありませんから、雨でも降れば足元は泥だらけになります。そんな状態で履物のまま上がれば家の中は汚れて仕方がありませんし、衛生上も問題があります。そこで日本では履物を脱いで上がり、清潔に保たれた家の中では畳や板敷きの床に直接座って生活するようになったのです。ただ、ここで疑問が湧いてきます。高温多湿というなら、ほかのアジアの国も同じ? ということです。


 調べてみると、靴を脱いで家に入る習慣を持つ国はたしかにありました。お隣り韓国がそうだと気付く人も多いでしょう。ただ面白いのはタタキに靴を脱ぐ時、日本はつま先を外に向けて家の人が揃えたりしますが、韓国でこれをすると「早く帰れ」というニュアンスになってしまうそうです。他にも東アジア、東南アジアなどで靴を脱ぐ地域は多く、アジアに同様の習慣を持つ国は多そうです。ただ中国では脱がない地方が多く、国によって差があります。


 他方トルコやイランでも靴を脱ぐ習慣があります。これは家の中にけがれたものを持ち込まないというイスラム教の概念から来るものらしいので、ほかのイスラム教国でも同じかもしれません。


 意外なのは一様に靴を履いたまま生活すると思われる欧米が必ずしもそうではない、ということです。ドイツなどでは人に足の裏を見せるのは失礼なことという認識があり、やはり靴を履いたままが一般的なのかと思わせるのですが、カナダの一部やアラスカ地域などでは、家では靴を脱ぐというのです。またアメリカでも、室内を汚したくないなどの理由から靴を脱ぐ習慣の家もあるようで、同じ欧米でも靴履きの生活とひ
とくくりにはできないようです。


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